キリスト時々アルコール

コロナの中、自分も社会もがんばれるようにつづっています。

悪魔のような?友人の手紙

 おはようございます。バイクです。

 ちょっと調子をくずしてふせっていました。

 が、びっくらメールで飛び起きました。

 かなり長文の、大切な友人からのメールです。

 コロナ渦中の東京からのメールです。

 

 最初、ラインで来たのですが、

 「ええい、ラインでは無理だ。」

 というスレッドのあと30分。メールが来ました。

 神の存在意義を問うという大メールでした。

 

 

 『これは一切、気になさらないでください。

 わたしはおそらく、狂っているのです。

 悪魔でしょうね。

 神さまと言う存在に、謝罪を求めるのですから。

 

 今、わたしの東京では、日本で一番、人が死んでいます。

 神さまが送った、コロナウイルスで。

 

 敬虔なクリスチャンであるバイクさんには悪いのですが、わたしは三つの点で神さまに謝罪をもとめます。

 ひとつは、神さま、あなたの名による、罪のない人々の虐殺。

 もうひとつは、ほかの神々を悪魔としたこと。

 最後は、神さま、あなたの救済法が、不十分だということです。

 

 ひとつめです。

 多くの人々が、神の名によって、無残に亡くなってきました。

 約束の地の先住民は、誰の命令で殺されましたか?

 魔女にされた女性は、誰の名で焼かれましたか?

 そして、なぜ神はこれらの虐殺を黙認された!

 世界は、殺された人の涙で埋まっています。

 

 ふたつめ。

 地球上の、ほかの神々は、悪魔なのですか?

 せめてその存在を認めていれば、今日の中東での争いはなかったでしょうに。

 大地は、神々の血でぬれています。

 

 みっつ。

 あなたが約束された「救い」です。

 「天国」。「復活」。「永遠の命」。

 最後はそれをあたえるから、それまではとりあえず死んでおけ、というのですか?

 永遠のいのちをあたえるから、それまでは苦しんで死んでおけと。

 

 アフリカ大陸で、餓死する女の子が神さまにしたがおうと思いました。

 苦しんで、苦しんで、死にました。

 そして、歴史のおわりに、復活しました。

 宇宙には大調和が生まれ、復活した死者はみな神をたたえます。

 女の子も、一生懸命賛美を捧げました。

 が、その女の子のからだには、餓死の苦しみという傷が一つ、付いていました。

 神さま、彼女が何も言わなくとも、あなたを賛美しようとも、わたしは彼女のくるしんだ記憶を忘れない。

 世界は、ひとりの女の子の傷で痛んでいます。

 

 バイクさん、ごめんなさい。

 好き放題、ほざきました。

 納得できないから、ほざきました。

 神とイエスへの讃美歌が、

 歌えないから吠えました。

 

 そして、今日もまた、眠れぬ夜をすごします。

 なみだを流してすごします。

 今、ここの卵をあの子へと、持っていけたらどんなにか・・・・。

 そう思う事しかできません。

 

 お返事は不要です。

 長文ごめんなさい。

 忘れてくださいませ。』

 

 

 僕はこのメールを、何回も何回も読み返しました。

 答えることは、不可能でした。

 神はフェードアウトしていきましたが、人々と、悪魔と、女の子は濃くなっていきました。

 加害者のことも考えました。

 みな僕と同じクリスチャンでした。

 僕は、友人と同じようなこころになっていく自分を止められませんでした。

 「銃殺になればいい!」

 空想の中で加害者をみんな撃ち殺していました。

 

 その時、また一通のメールが来ました。

 「追伸」とありました。

 文面は一行。

 「しかしながら、わたしも人類のひとり。加害者のひとりのうちに入るかもしれないですね。」

 やられた、と思いました。完全に友にやられた、思いました。

 僕は「追々伸」とタイプし、

 「僕こそ、人類の一人、人類の中の一人です!」

 と打ちました。

 

 

 なんとうれしい。なんと悲しい。

 世界が入ってきます。

 今、考えます。罪の連帯と言うことを考えます。

 なぜなら、世界はすべてつながっているからです。

 

 虐殺は、僕の友がやったことでした。

 魔女狩りは、僕の兄弟の仕業でした。

 僕はすべてのものに謝罪したい。

 

 ああ、世界が僕の中にはいってきます。

 神さまさえ僕の中に。

 僕は、地上のすべての罪をつぐないたいのです。

 そうでなくても、僕は罪深いのだから。

 兄弟の死すら願ったのだから。

 

 そして、メールを打った後、苦しんでいた人々が見えていたあたりにひざまずき、僕は頭を静かに床につけました。