ネタバレBBK5分de名著『カラマーゾフの兄弟』
みなさん、おはようございます。バイクです!
自粛の中、本当にお疲れ様です。
このところ、本の紹介されているブログさん、多いですよねえ。
自粛を逆手にとって自分を深める、尊いことです。
で、僕もはてなブログの時流に乗らせてもらって、『ネタバレBBK5分de名著「カラマーゾフの兄弟」ドストエフスキー』をやらせてもらいまーす。
おおっと、大きく出ましたねえ。
おおよそ文字で書かれた芸術のうち、人類最高峰といわれる超大作ですが、聖書を除けば、僕の無人島の一冊なんです。
この回、結構ネタバレなんですけど、作品がすでに世界的にネタバレしている作品ということと、プラスネタバレしてても作品を味わう妨げないのでおゆるしを。
しかしこの記事はあくまでも「ネタバレ注意です。」
ほんとに内容を知りたくない方は閲覧しないでくださいね。
人が人生で遭遇する問題がすべて、この作品には書かれています。
それは人類がもっているすべての悪、欲望、残虐性の象徴の名前です。
三人の兄弟と、一人の影が登場します。
彼らはみな、自分のうちのカラマーゾフに苦しんでいるのです。
作品のなかほどには、2つの哲学的挿話があって、(イワンの『大審問官』、ゾシマ長老の『ロシアの僧侶』)それぞれ「カラマーゾフの本質」、「カラマーゾフからの救済」が書かれていますが、ここで取り上げたいのは、『ロシアの僧侶』です。
作中に登場する、師的存在のゾシマ長老の生涯と遺訓が描かれるのですが、高潔なゾシマも、若いころカラマーゾフだったのです。
このようにして、人類のすべてがカラマーゾフから逃れていない、という事実がしめされます。
では救済は?
死んで行ったゾシマの兄、マルケルの生涯が、ゾシマの人生の発端ですが、窓の外の小鳥にまでゆるしをこうて、マルケルは逝きます。
「泣かないでよ。人生は楽園だから。
人間が幸福を知りつくすには、一日あれば十分ですよ。」
「僕の血潮であるやさしいお母さん、本当に人間はだれでも、あらゆる人あらゆるものに対して、すべての人の前に罪があるんです。
そして僕は、そのなかでも一番罪が深いんです。」
「小鳥たち、君たちも僕をゆるしておくれ。
僕のまわりには、こんなに素晴らしい神の栄光が満ちていた。
鳥たち、木々、空。」
「僕のことはみんながゆるしてくれている。
これが、天国ということなんです。」
「人はだれもが、たがいに仕え合わなけりゃいけないものね。」
これらの言葉が核となって、ゾシマは長老ゾシマになって行くのです。
そしてゾシマも生涯の最後に言います。
「晴れ上がった空。優しい草、小鳥たち。
なのにわたしたちは愚か者で、人生が楽園だと理解していない。」
「世の人のすべての罪の責任を自分から引き受けることだ。
友よ、本当にそうあるべきなのだ。
なぜなら、すべての罪、すべての人々に対し、本気で責任を取ったときに、すべての人、すべてのものに対して、自分こそ罪があることに気づかされるからだ。
それを知ったとき、人は全一的な愛に苦しみながらも、言い知れぬ喜びのなかで小鳥たちに祈りだすだろう。」
「そのとき、人間は、自分と同じ人間を召使にすることを望まなくなって、すべての人の召使となることをのぞむだろう。」
「倦むことなく実践しなさい。
かりにみながお前を見捨て、むりやり追い払うようなときは、大地にひれ伏して口づけし、お前の涙で濡らすがよい。
さすれば大地はお前の涙から実りをもたらしてくれるだろう。」
そしてゾシマも事件の渦中生涯を終えていきます。
が、悲劇は止められません。
殺人は起こってしまいます。
・・・しかしラストちかく。作者みずから、あたらしいキリストと呼んだアリョーシャと、子供たちがさけびながら歩いていくのです。
ラスト近く、アリョーシャを囲んだ12人の子供たちが。
コーリャとイリューシャのあいだでジューチカの復活が起こったあとに。
そうなんです。
人類の最も暗い面。カラマーゾフが、カラマーゾフのまま救済されるのですね。
こうして、人類最大のドラマは終わります。
自粛と人生に疲れている方、一度挑戦して見てくださいね。
ただし、つかれます。
「はたして神は存在するか」
「わたしは悪魔のがわについた」
「ロシアの民衆に奇跡は必要か」
みたいなテンションで2000ページ以上続きますよ。
しかし、重いですけど、読後人生が軽くなることは、保証します。
自粛と緊急事態、のりきりましょう。
バイク拝。
こちらはソ連時代に制作された映画です。長かったです。