キリスト時々アルコール

コロナの中、自分も社会もがんばれるようにつづっています。

「少女から二度目の誕生」。『思秋期』

 こんばんは、バイクです!

 岩崎宏実さんレビュー、がんばってます。

 なにやら意味深なタイトルをつけてしまいましたが、今日はそれだけの意義のある作品なのです。

 

 16歳で、デビュー。二度目のシングルでミリオン。押しも押されぬアイドルになってしまった宏実さんでしたが、実人生では大きな問題をかかえていました。

 家族は芸能活動に否定的。話し合った結果、「二十歳でやめること。」と通告されていました。その期限みたいな曲でした。

 そして制作サイドでも。

 ずっと彼女を見守ってきた作詞家・阿久悠は、「この歌唱力のかたまりの天才をアイドルのままで終わらせてたまるか。」と思っていました。才能抜群の女の子が、アイドルの服を着て、アイドルの歌を歌えばそれは売れますね。

 しかし阿久は、岩崎宏美をなんとか本格的シンガーに脱皮させたかったそうです。

 そこで書いたのが、日本語の美しさの限界に挑んだこの曲。

 作曲家も、それまでの華麗でハイテンポな楽曲を提供してきた筒美京平にかわって、神品バラードを多く生み出している三木たかしを起用しました。岩崎にとっても、初めてのバラード、初めての脱・アイドルソングでした。

 岩崎は、これで、芸能界をやめるか、それとも一生歌手として歌い続けるか決めよう、と録音に挑んだそうです。

 結果、それまでの「アイドル少女」は消滅し、人生をかけて歌う「ひとりの歌手」が誕生しました。

 反対していた父親も、辞めろとは言わなくなったそうです。

 以後、『シンデレラハネムーン』、『春おぼろ』、『さよならの挽歌』、『万華鏡』と、多彩な道が岩崎に開いていったのでした。

 そんな、ひとりのおとめの人生を変えてしまった『思秋期』、お聞きください。

 これは、彼女の動画の中でも、もっとも美しい作品です。


岩崎宏美 思秋期 ①